PMサクライブログ:(第4回)データ移行失敗からのリカバリー【後編】 ~データ移行経験20年のベテランが語る絶対知っておきたいデータ移行のポイント!
2019-07-25
このコーナーは、リアライズの凄腕PMサクライがデータマネジメントノウハウや、最近のトレンドをご紹介するコーナーです。数々のデータマネジメントPJを先頭に立ってやり抜く。口癖は「ええねんけどなぁー」。
データリカバリーの結果
前編では、新卒1年目にも関わらず上司や先輩が作ったシステムの保守要員に任命されるが、そのシステムで実施した決算処理の数値が合わずお客様から「0点」と言われた。
何としてもお客様のご要望にお応えせねばと奮起し、アプリケーションの修正をSTOPさせて、データを正しい状態にすることを優先した結果、原因の特定ができた。しかし、問題はここからでした・・・。
というところで終わりました。まだ、前編をお読みになっていない場合は、先に前編からご覧ください。
では、続きをどうぞ。
しかし、問題はここからでした。
原因の特定とデータリカバリープラン及び、決算処理の大幅な修正(最初からやり直し)を進言したところ、当時の会社の上司にはまったく理解が得られませんでした。
(責任が取れないの1点張りでした。 もぅやですよねー)
結局、お客様がGOサインを出せばという条件で社内を通し、お客さまからは「新旧」両方の決算処理を実施し、比較検証をするのであればという条件で、データリカバリーと決算処理の修正を実行し、初めて1円の狂いも無い決算処理を実現するに至りました。
この結果、様々な副産物をお客様と共に手にすることになったのは想定外の喜びでした。
副産物その1:決算処理時間が、17.5時間から25分に短縮(まぁ、マジックです)
副産物その2:25分で決算処理が完了するので、お手軽に現在の決算状態が見れる
副産物その3:直下の営業所がお手軽に数値把握出来るので興味が湧く
副産物その4:営業所側で細かな数値の不整合と事務処理の誤りに気付き、教えてくれる
副産物その5:データの精度がどんどん上がる
副産物その6:旧バージョンの決算処理は無視されるw
事態が好転し始めるとそれは止まることが無く、以前であれば決算処理後に本部と営業所で行われる数字の不整合検証で何日にもわたる押し問答が一切無くなりました。
(そりゃそうですよね。営業所に伺う前に数字は合っているのですから)
そうなると不整合検証用に確保していた日程が不必要になり、休日になったり他の仕事に割り振れたりと気分も明るくなり、憂鬱な決算処理後の事務がほんわかとした春日和に乗ってお客様の宴会に繋がったことは言うまでもありません。
(実際、連日の歓迎と飲み会で胃が重いとおっしゃってました。私には関係はありませんがw)
エピローグ
このお話は事実ですが、「終わり良ければすべて良し」的な事ではなく、本来最初からお客様が手に入れるはずだったシステム導入の恩恵を、3年もかかってようやく手にすることが出来たという悲劇のお話であります。
データ移行で失敗すると、そのリカバリーには想像以上の時間がかかります。
それは本番稼働が始まっている状況の中で、トランザクションデータを含めたデータのリカバリーは至難の業だからです。
私が新卒であった1995年から20年以上が経過し、世のシステムやパッケージは比較にならないほど進歩・複雑化する中で、データ移行を軽視することがいかに愚かな事であるか、ご想像頂ければ幸いです。
システム構築に携わっているエンジニアの皆様も、データ移行の担当になるということはお客様の業務に精通することにもなりますので、決して外れクジなんかではありません。
データ移行の経験者はその後のキャリア形成において、よりお客様に近い立場での志向の有り方を極めることが出来る可能性を持っていることを、お忘れなきよう。
ということで、本当は銀行の統廃合と証券取引所のシステム再構築に関わるデータ移行も、考えるポイントを挙げながら考察するつもりでしたが、長くなってしまいましたので今日はここまでにします。(こちらは成功事例です)
えっ?なんですか?今回のデータ移行失敗からのリカバリーはどんな業種か?ですか。。。
えーっと。ご想像にお任せいたしますが、お金に関わる業種です。
20年以上前のお話ですし、最後はきっちり仕上げてありますのでご心配なく。
※記載内容は執筆当時のものです。株式会社リアライズは2023年1月1日に株式会社NTTデータ バリュー・エンジニアに社名変更しました。
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