「データ経営が日本を変える!」著者メンバーへインタビューしました

2022年4月に一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(以下、JUAS)にて発刊された「データ経営が日本を変える!」について、JUASの会員として執筆メンバーに参画した弊社社員の海老原に、書籍発刊に至った背景や、それに込めた想いをインタビューしました。

参考:弊社社員が執筆した電子書籍が発行されました

 

 

まずは、この書籍を執筆したJUASシステム高度化プロジェクトについて教えてください。

‘90年代終盤から日本の国際競争力は急速に低下し、特にITに関しては今やIT後進国と言われるまで凋落しています。

また近年、DXという掛け声のもとでデジタル革新に向けた取り組みが行われていますが、IT後進国となってしまった実態と課題に向き合い、これを解決していかなければ、真にビジネスに貢献し今後のビジネスを牽引する情報システムに進化していくのが難しいと考えました。

 

そこで、これからの日本のあるべき情報システムの進化を「システムの高度化」と定義して、どのように作り上げていったら良いかを検討する研究プロジェクトが2016年にJUASで立ち上がりました。

 

 

「情報システムの高度化」プロジェクトは、どのようなメンバーで活動をされたのですか?

これまで国内で情報システムの構築・運用の実経験があり、前述した課題の認識が深く一定の考えがある有識者11名をプロジェクト発起人が指名して集められました。

意見に偏りが出ないようメンバーは、メーカーやエンジニアリング会社、エンタメ業界などのユーザ企業をはじめ、ベンダー、コンサルタントなど異なる立場・背景を持った人が集められました。

私もその中の1人として声がかかり、このメンバーの一員として活動を行い始めました。

 

 

プロジェクトは、どのように進んだのでしょうか?また、このタイミングで書籍を発刊したのはなぜでしょうか?

実はこの研究プロジェクトが始まった5年前は、白紙の状態から日本の情報システムの高度化の議論が開始されたので、どのような結論に辿り着くか誰も見えていませんでした。

そのため、自分の考えるデータ中心の考え方やアプローチが、他の様々なバックボーンを持つメンバーの考えと異なるのではと考え、自身の考えを抑え気味に参加していました。

 

しかし、プロジェクトが3年目に差し掛かった頃から、「情報システムの高度化を実現するためには、ビジネスと情報システムが一体化していなければならず、そのときビジネスと情報システムの接点となるのはデータである」と、メンバー全員が考えるようになっていました。

それは、私が何年も研究し実践してきたデータ中心のアプローチと軸を同じくするものだったので、そこから先は自身が培ってきた経験を踏まえて積極的に議論を行いました。

 

そして、プロジェクト発足から5年の歳月を重ね結論を導くことができたので、本来の目的である「日本の情報システムの高度化を推進する」を実現すべく、電子書籍化し世の中に広げる活動にしました。

 

 

海老原さんは、どのようなテーマで執筆をしたのですか?

私はJUASでビジネスデータ研究会やデータエクスペリエンス研究会などを続けてきましたので、データに関する研究の深さから「Ⅶ章データの大切さ」という章を担当しました。

ビジネスと情報システムにおけるデータの位置づけと意義、それからデータをビジネスの価値に結びつけるために必要なデータマネジメントの重要性を説明しています。

 

また、高度なデータ活用を行う方に向けて「概念データモデルを作るべし!」「データ維持管理の専門組織を作るべし」といった最低限守るべきデータマネジメント推進6か条を紹介しています

これは、国内でデータ活用を成功させている企業14社を調査して、どの企業にも共通して行っている要素をまとめたものなので、理想論ではなく確実性のあるものとなっています。

 

 

執筆にあたって工夫された点や、苦労した点はありますか?

共著の書籍に共通することですが、同じ内容であっても執筆者によって表現が異なる場合があり、それを整合する時間が必要だった点です。

今回は書籍化のリーダであるJUAS菊川さんの意向で、代表者が編集するのではなくメンバー自身の血の通った言葉のまま文章にするため、各章の内容はメンバー全員で読み合わせて徹底的に議論を尽くしながら全体を整合していきました。

この校正は1年弱の期間をかけ徹底的に議論を尽くしたので、メンバー全員が納得した仕上がりとなっています。

 

私自身の担当執筆章は25年のデータマネジメント実務経験をバックボーンにしているので、書くこと自体は問題ありませんでしたが、書籍に盛り込みたい要素が多かったので、何を削ぎ落とすかで苦労しました。

 

 

「情報システムの高度化」にあたり、リアライズのビジネスで解決できることはありますか?

この本の結論の1つでもありますが、これからの情報システムは今一度データ中心に立ち戻り、コンピュータ視点のデータ中心アプローチ(DOCA:Data Oriented Computer Approach)ではなく、ビジネスの視点に立ったデータ中心アプローチ(DOBA:Data Oriented Business Approach)が必要となります。

※DOCA、DOBAは本書にて定義された用語です。

 

またデータは、アプリケーション開発のように開発・導入が完了して終わりではなく、ビジネスの進展と一緒にデータも進化していきます。

そのため、情報システムの高度化にはDOBAで考えて、データアーキテクチャを設計した上で、データカタログを構築・運営したりといった継続的なデータマネジメントが必要です。

これらを最も支援できるのは、ベンダーでもコンサルファームでもなく、これまでもこれからも“ひたすらデータに向き合ってきたリアライズ”が一番貢献できると考えています。

 

リアライズのデータマネジメントソリューションはお客様のビジネスを理解することに重点を置いていますので、まさにDOBAの考え方そのものです。

お客様の業務の流れと構造を把握し業務のサービスレベル、業務機能、実行組織など業務に関わる要素間の関係性を整理することで、網羅的に業務の全体像を把握することで、データマネジメントの目的とスコープを明確化するので、成功への近道ができることが特長です。

 

 

海老原さんの今後の活動について教えてください。

私は、定年までの残り時間を「若い世代のIT従事者を元気にする」というテーマで働いています。

そのため、私がこれまで培ってきたデータマネジメントに関する考え方や、成功のポイントを発信していき、今後の情報システムを担う世代が困った時の助けとなるようにしたいと考えています。

それは若い世代に留まらず、彼らの活躍を支える経営者層にも理解してもらう必要があると考えています。

これらをブログセミナーなどで発信していきます。

 

まずは、デタマネ・ナビゲータ晶吉ブログにて、データを武器とするために必要となるデータマネジメントの世界と、その向こうに広がるビジネスの成長へ皆さまをナビゲートします。

 

晶吉ブログの第1回は、『気をつけろ、2025年の崖の手前には落とし穴があるぞ!』と題し、競合Z社と熾烈な戦いを行う大手小売りチェーンB社が、自社の強みを活かして構築した顧客履歴統合データベースにまつわる話です。

ぜひ、ご覧いただければと思います。

 

デタマネ・ナビゲータ晶吉ブログ:第1回『気をつけろ、2025年の崖の手前には落とし穴があるぞ!』前編―

 

 

※記載内容は取材当時のものです。株式会社リアライズは2023年1月1日に株式会社NTTデータ バリュー・エンジニアに社名変更しました。

 

 

 

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