【リアライズ通信(201506)】

このコーナーは、リアライズ社長の大西が発信するブログです。最近の出来事や、今後のビジネスへの考えを綴っています。

 

 

みなさま、本ブログでは、大変お久しぶりです。

複数のお客様やパートナーから『めっきりブログの更新がないので、寂しいですよ』というお声を聴いておりました。

 

最近はFacebookでの書き込みが多くて、多忙に感けてブログ側の更新がどうしても手につきませんでした。

ご無沙汰をいたしまして、申し訳ございません。

 

前回ブログを更新してから結構時間が過ぎてしまい、思い起こすにつけ「あんなコトもあった、こんなコトもあった」と、筆が大変に重くなりますゆえ、最近思うところを徒然なるままに書かせていただくことをご容赦くださいませ。

 

昨今、『なぜITとマーケティングの協業はうまくいかないのか?(ITmedia)』といった、『IT部門はもっと事業部門との距離感を縮めていかねばらなない!』という強い論調のオピニオンが広がっていると感じます。

 

『[飛び出せ!IT部門]【第1回】 起点となるのは「接点強化」と「全体俯瞰」(IT Leaders)』では、

『近年、経営や業務課題に対して、ITを活用した積極的な貢献がよりいっそう期待されているが、このニーズに十分に応えられているIT部門は決して多くはない。

(中略)

このままでは、期待が高まる「クラウド」や「ビックデータ」などの競争優位や成長をもたらす「攻めのIT」は、従来のIT部門ではなく、他の部門が担うことになってしまうかもしれない。

こんなタイミングだからこそ、IT部門のあり方や立ち位置を今一度考え直す良い機会と考える。

これまで得意としてきた社内の業務効率化やコスト削減のような「守りのIT」とは異なり、競争優位や成長をもたらす「攻めのIT」について、具体的にどのように推進すべきかが分からないということが、多くのIT部門が抱えている共通の課題ではないだろうか。

つまりは、IT部門の担当者が「何をどのように考え」、「どこから手をつけて」、「どのように推進していけばよいのか」を把握できていないということだ。

同時に、担当者にとって日々のシステム保守・運用業務で手一杯という現状は、「攻めのIT」に向かう足枷にもなっている。』

とあり、やはりどなたも口を揃えて『このままのIT部門ではビジネスに貢献できない!』『これからのIT部門は”攻めのIT”をやっていかなければダメだ!』という危機感が謳われています。

 

また、そうした現状の背景を裏付ける事実か、最近のガートナー社の調査では『ビッグデータ、日本企業の活用は6%だけ』という結果が出ており、『日本企業のビッグデータへの取り組みの認知度は約9割に達し、約3割が関心を示しているものの、活用しているのは6%にとどまった。

活用度合いは前回調査(2013年)に比べて微増し、特に「一部で活用している」と

の回答は2ポイント上昇した。

ただし、「検討している」との回答はほぼ横ばいだった。

(中略)

IT部門とユーザー部門の連携の弱さがアイデアを見いだす上での大きな壁となっているようだ。』とされています。

 

自社のビジネス、売上に貢献するIT活用が現状できていないのは、『売上を上げるという感覚が持てないIT部門とITを理解しようとしないマーケティング部門の対立構造が原因』としている記事が数多く見受けられ、ITよりのメディアは『IT部門はクラウドで保守・運用の仕事がなくなるよ』といい、マーケティングやWebよりのメディアは『マーケッターもITについてもっとハングリーにならないと、IT側の人に仕事を取られるよ』というホラーストーリーを仕立てあげ、IT部門やマーケティング部門で実業務に携わっている読者の方々がどんな気持ちでこの論調を見ているのだろうか、と素直に気になってしまいます。

 

確かに、データマネジメントの推進・定着化により企業・組織のビジネスへのデータ活用を支援している当社としては、眼前でエンドユーザー部門とIT部門の目線の違いや取り組みへの温度差、目的の意識違いなどに遭遇することもあります。

往々にしてIT部門は、「どんなビジネスアクションに役立つデータが出来上がるのか?」よりも「どんな機能を持った基盤をつくるのか?」に関心があり、場合によっては目的が「システム導入」にすり替わってしまうようなケースもあります。

しかしながら、私は抽象的にお互いのことをもっと知り、歩み寄ろう、といった精神論だけでは事は何も好転しないと考えています。

 

なぜか?

理由は簡単で、ITのプロフェッショナルがいて、マーケティングや営業企画のプロフェッショナルがいるだけではなく、『データのプロフェッショナル』が必要だからです。

 

閉じた系(単一システム)の中での活用であればいざ知らず、オープンデータやソーシャルデータなどの外部のビッグデータなども取り込んで、自社もしくは自社グループのお客様を「個」として捉え、様々なタッチポイントにおける行動(店舗、Web、スマホ、ソーシャル、コールセンター、紙カタログ、ダイレクトメール、メルマガ、アンケート、資料請求、配送、保守など)を精緻に把握し、その関係性を改善したり、ロイヤリティを高めていくための連綿としたPDCA活動を行うためには、ただ単に各タッチポイントで産み出されているデータをかき集めてきて、分析基盤に入れ込むだけでは何の活用もできません。

 

様々なシステムに、そもそもどのような意味のデータが、どのような状態で存在するのかを的確にアセスメントし、それらのデータを紡ぎ合わせ、その意味を正しく揃えることによって、はじめてマーケッターや企画者が目的に合った形で有効にそれらのデータが活用できるようになるのです。

意味や粒度が合っていないデータをいくら寄せ集めてきても、そこから導き出す仮説は砂上の楼閣であり、マーケティング部門とIT部門をつなぐ共通言語である「意味が理解できるデータ」を築き上げ、維持していくことがまずファーストステップだと考えます。

 

この地道でも重要な『データ活用の前工程』を担う『データのプロフェッショナル』の所在は、マーケティングなどのユーザー部門の中にあっても、IT部門の中にあっても、その機能を適切に果たすことができ、その存在を会社や経営層が認めてくれているのであれば、私は正直どちらでも良いと感じています。

 

「攻めのIT」とは、「ITから産み出される“データ”を使って、自社のビジネスを競合より差別化し、自社の顧客との関係性を改善・強化していくこと」に他なりません。

コマツさんやセコムさんなどの事例を引き合いに出すまでもなく、ITを使った自社の製品やサービスの差別化は経営者にとって喫緊の命題となっており、その経営者の期待に応えるのは「そうしたデータへの問題意識、挑戦するスピリット」をもった「ビジネスリーダー」であり、そのリーダーがどの部門に所在するか、ということだけだと考えています。

 

ITの進化と日常生活や業務の隅々までの普及により、本当に様々なお客様の行動がデータで把握できるようになってきたこの時代に、それを活用しないなんてあまりに勿体ない。

当社のお客様企業では、「データのプロフェッショナル組織を立ち上げ、エンドユーザー部門とIT部門の触媒として、データのビジネス活用を全社的に推進しよう」ということで、多くの取り組みが始まっています。

 

データをビジネスに活用したいエンドユーザー部門と、データ活用の基盤づくりや定着化を推進したいIT部門との『狭間』には、データがあります。

そのデータと向き合う『データのプロフェッショナル』をもっと日本企業の中で増やしていきたい、そういう思いを強く再認識している今日この頃です。

 

この私の主張には、賛否両論があるかもしれませんが、データ活用の現場で闘う者の実感として思いのたけを書かせていただきました。

是非、皆さまからもご意見・ご感想をお聞きすることができたら、本当にうれしいです。

 

 

 

※記載内容は執筆当時のものです。株式会社リアライズは2023年1月1日に株式会社NTTデータ バリュー・エンジニアに社名変更しました。

 

 

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