所在不明高齢者の問題とデータマネジメントの関係

このコーナーは、リアライズ社長の大西が発信するブログです。最近の出来事や、今後のビジネスへの考えを綴っています。

 

最近、毎日のように「所在不明の高齢者の方が実は全国各地でたくさん存在して、年金等が支給されていること」が問題視され、新聞紙面やテレビのニュースで取り上げられています。

この現象に対して、 「長寿大国神話の崩壊として海外メディアでも取り上げられている」とか「核家族化の進行でお年寄りを支えられない」といった批判・論調が多いですね。

子育てもそうですが、人口が確実に減少していく時代だからこそ、都市部も地方でも、地域社会のコミュニティやもっと小さなユニットである自分の住むご近所さんたちとの「きずな」を強くする必要性を痛切に感じます。
幸いなことに、私の家族は、近隣の方々から子どもの誕生日にお赤飯をもらったり、何かあったときに少しだけ子どもの面倒を見ていただいたりと、日々の生活の中で血が通った交流があります。
そのため、「お隣さんのおじいちゃん、最近見ないけど、体調でも悪いのかな?」といった話題が食卓の会話の中で普通にあがってきます。

地域社会との「きずな」の結節点として、重要な役割を担うのは「子どもの存在」なのかなと感じるところはありますが、一方、私は、また別の視座でこの問題をとらえています。

それは何か。

「国民の生命・安全を守るべき行政機関が、住民の存否の情報(データ)をしっかり一元的に把握できておらず、最新性・正確性を担保できていない状態を一日も早く改善しなければならない」

という観点です。

例えば、地震や水害などの自然災害が起こったときに、「誰を優先的に救わなければならないか?避難場所への誘導に助けが必要か?」といったら、まずお一人での行動が難しい高齢者や独居老人の方々のはずです。

そうした際に、「生命・安全を守るべき対象の住人や所在地の台帳」が最新化されてデータとして管理されていなければ、有事の混乱の際に適切な被災者の救済や支援ができるとは思えません。

8月3日の朝日新聞朝刊で「犯罪人名簿作成の基準や保管・廃棄時期等に明確な基準がなく、市区町村が区々で管理がバラバラになっている」という記事を目にしましたが、これも同根の事象です。

この問題の根幹にあるのは、国家の安全保障や国民の安心・安全を守るという観点からも、

「日本に居をもつ住民を一意に特定でき、現住所や続柄等のデータを正確かつ最新の状態に保持するための統一的なルールや実行を担保するしくみ、ならびに、責任を持った組織」

が必要ではないかと思います。

また、これは地方自治体ごとに異なった基準であることは許されません。
国民からの理解と協力を得たうえで、国全体としてのデータマネジメントの整備すべきであると考えます。

同時に、国に頼るだけでなく、人口が減少していく日本においては、高齢者や子どもを地域社会で支える「きずな」を再構築するために、我々国民が身近なところから-まさに「三軒両隣」に-関心をもち、関係を持つことが重要ではないでしょうか。

「あのおじいちゃん、最近犬の散歩に出てないよね」
「以前は子どもの泣き声がよくしたけど、最近聞かないなあ」

こうしたときに、簡単に携帯メール等で自治体の窓口に一報ができるしくみがあれば、何十年も所在がわからないのに年金を支給したり、痛ましい児童虐待の防止などにもつながると感じています。

ニュースでは、自治体職員が「プライバシー侵害につながるかもしれないので、踏み込んだ確認が出来ない」というコメントがありましたが、国民全体の生命・安全のためにはプライバシーは盾にならない、と思います。

国民の生活の中には、こうした課題が多く潜在化しています。
私は、そうした問題に対する提言を、データマネジメントを通じて行っていきたいと思ってやみません。

 

※ちなみに、IT Leadersの連載記事2回目がアップされました。
皆さん、お時間あるときに読んでいただけると嬉しいです。
https://it.impressbm.co.jp/ 

 

 

 

※記載内容は執筆当時のものです。株式会社リアライズは2023年1月1日に株式会社NTTデータ バリュー・エンジニアに社名変更しました。

 

 

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