データマネジメント普及のためのセミナー

このコーナーは、リアライズ社長の大西が発信するブログです。最近の出来事や、今後のビジネスへの考えを綴っています。

 

少し前の話しになりますが、以前このブログでもご紹介したデータマネジメント普及のためのボランティア団体―DAMA日本支部の設立記念セミナーが11月15日に開催されました。

記念セミナーに先立ち、DAMA日本支部設立の記者発表会を行い、様々なメディアに取り上げていただきました。

主だったものを以下にご紹介します。

 

(1)IT Leaders
米国企業に“30年遅れ”の現状を打開、データマネジメントの普及図る国際団体が日本支部設立』

IT Leaders編集部 鳥越 武史 - 2010年11月16日(火) 17:57


(2)ASCiII.jp
『アプリケーションにひも付かないデータガバナンスを実現する30年遅れているデータ管理を日本で啓蒙! DAMA日本支部設立』


(3)ITpro
『データマネジメントの普及を目指す団体「DAMA」日本支部が発足』


(4)News1st(プレスリリース配信サイト)

『DAMA日本支部が設立』

 

<セミナー記事>
(5)ITmedia エンタープライズ
『国民視点の欠如した行政サービスを変えろ』
ITmedia エンタープライズ編集部 伏見 学 - 2010年11月16日(火) 19:00


また、12月2日には日経産業新聞朝刊にもDAMA日本支部立ち上げの背景を紹介する記事も掲載していただきました。

記事のとおり、本当に手弁当で立ち上げた組織であり、ボランティアの限界があります。
それを補完していく必要性は重々認識しており、社会にインパクトをもたらし、市場から認知度を上げるための対応策を検討していきたいと考えています。

さはありながら、データマネジメントの問題について世の中からこれだけの反響が返ってきたことは、本当に大きな励みになりました。

さて、肝心のセミナーについては、最終的に定員を大幅に上回る参加希望者が集まり、大変申し訳ないのですが、満員御礼で申し込みを打ち切りました。

セミナー後の満足度アンケート調査を見ると、総じて高い評価で嬉しかったというか、胸を撫で下ろしたのですが、特にほぼすべての来場者の方が「大変有意義だった」とお答えいただいたSONY長谷島CIOのご講演が素晴らしかった。

その内容は、私の稚拙な文章力ではお伝えしにくいため、私と付き合いが長くて信頼しているライターの柏崎氏のレポートがあるので、そちらを引用させていただきます。

(以下、柏崎氏のレポートより)
森田氏に続くセッションは、ソニー株式会社 業務執行役員SVPビジネス・トランスフォーメーション/ISセンター長 長谷島眞時氏による「ソニーのグローバルIT/ISガバナンス」

近年、売上高の8割近くが米欧アジア市場で占められるソニーですが、組織のグローバル化が本格化した2004年以降、情報システム部門が先頭に立ち、ビジネス戦略とIT戦略の整合を図るマネジメントプロセスを導入するなど、IT/ISガバナンスを強化しています。

情報システム(IS)再構築プロジェクトの陣頭指揮を執る間、"都市計画"に相当するEA(Enterprise Architecture)に、経営をめぐる環境変化への対応力をどのように組み込んだのか。
長谷島氏はその実践例を紹介しました。

 

・事業部・リージョンをプロセス視点で再定義

「"アナログ"の時代は、機能やデザインの作り込みによって比較的長く市場での先行者利益を享受できた。ところが、標準部品の組み合わせを主体とする"デジタル"時代は商品やサービス力という『表』の競争力に頼っていては勝ち抜けない。業務オペレーションやリスクマネジメントといった『裏』の競争力とのバランスを図ることで企業ブランド価値の向上に貢献できる。IT活用にもその視点が必要だった」(長谷島氏)

創業から約60年を経過した当時の同社の情報システムは、テレビ、ビデオ、オーディオ、半導体といった事業部単位、あるいは日米欧アジア主要地域におけるリージョン単位での個別最適化が進んでいました。

「業務プロセスに重複も生じていた。そこで、SCM、製造、販売といったProcess-oriented(プロセス・オリエンテッド)な横軸を新たに通した」「ビジネス戦略とIS戦略の整合化は、IT部門にとって宿命的といえる課題だが、各プロセスのオーナーを割り当てた上で、各事業部門やCFOなどにヒアリングを行い、プロセス戦略、そしてIS戦略を策定している」(長谷島氏)

プロセス戦略の検討は、成長に向けたビジネス戦略、そしてリスクマネジメントという経営側の要請から出発するのが原則。プロセス戦略の要件を満たすシステムモデルが同社EAの「あるべき姿」に掲げられ、現状システムと対比した上で、溝を埋めるためのIS戦略が導き出される流れです。

合わせて情報システム部門では、保守運用の位置づけを再定義しました。
「変化に対応するシステムマネジメントこそ、開発の最上流に置かれるのが本筋だ」と長谷島氏は述べます。

そして従来、開発・テストに偏重配分されていた情報システム部門のリソースは、コア領域である企画構想にシフトします。

「企画構想段階における外部コンサルの安易な活用を控える一方、非コア領域である詳細設計以下のプロセスは、ROIを踏まえて社外リソースを活用する形に変更した」(長谷島氏)

プロセス戦略とともにIT投資額もプロセスオーナーやCFOとの協議の上で決定。
着手から2~3年後には、ほぼ毎年設定したシーリング内に収まるようになったといいます。

プロジェクトでは、企画構想→設計→実行→導入というステップごとに、レビュープロセスの機会を作り、経営側の承認を得なければプロジェクトを先に進めることができないルールを設定。特に、実行段階に移る直前で、開発計画とROIについては、CIOである長谷島氏がコミットメントする仕組みを設けました。

「グローバルにガバナンスをきかせるために、日本に権限を集中しているガバナンスの一環で、PJのレビュープロセスを標準化することで、コストや納期の遵守率を向上させてきた」と長谷島氏は述べます。

昨今は日本と海外拠点のみならず、海外拠点同士でのダイレクトな人的交流も、活発化する傾向にあります。

「Global One Teamを実現するには、仕事の進め方をはじめ、『グローバルとリージョンのどちらを優先するか』といった判断を強いられる場面でうまく足並みを揃えられるかどうか」と長谷島氏は指摘します。

・データを制する者は、大きな果実を手にする

IT部門にとってのもう一つの課題がデータマネジメントです。
社歴の長い同社では、さまざまなデータの品質管理が全社的課題として顕在化しつつありました。

社員コードの付け方に関するルールは、グループで統一された基準がなく、各社バラバラでした。そこで、グローバル規模で個人を一意に特定できる個人IDを付与し、システムのログイン時における認証方法を共通化するITインフラを整備しました。

「やり方を一気に変えれば、現場にも負担がかかり、費やすコストも大きい。そこでシステム更改のタイミングなどを見計らってIDを導入するなど段階的に移行している」 (長谷島氏)

また、IFRS対応を機に社内の組織コードの共通ルールも策定。さらに製品や部品といった品目データのプラットフォーム化にも着手しています。

「正直言って、パンドラの箱を開けるような思いだった。開発や販売といった部門間でコードに対する考え方の違いを乗り越える社内調整が不可欠だった」

同社では、コードオペレーションの集約と品質管理を行うコードオペレーションセンターを申請部門と利用部門の間に設け、マスタデータの維持管理を行っています。

「ある一つのデータベースが、設計図通りに、社内に一つだけ存在すれば何ら問題はない。だが実際蓋を開けてみると、そう綺麗にはなっていない。長年運用する中で異なる部署でデータベースが複製されたり、情報の更新が行き渡っていなかったりする」と長谷島氏。

データとそれが表す事象とが正確に紐づいていないことが、円滑な業務の遂行を妨げると説明します。

「プロジェクトではコストダウンを図りつつ、ナレッジを社内に残すことが大切だ。データマネジメントも地道にやるほかないが、データを制することができれば絶大な効果を得られはずだ。分散したデータを統合できるならば、他のいかなる開発案件よりもビジネスに与えるインパクトは大きいだろう」

長谷島氏は実感を込めて、データマネジメントのもつ重要性を指摘しました。

(引用終わり)

データマネジメントはパンドラの箱だが、これを開けずしてはシステムのグローバルな全体最適はあり得ない、データを制するものは今後大きなビジネスの成果を得るだろう、という長谷島CIOのお言葉に感銘を受けると共に、改めてデータマネジメントの取り組みにあたって課題をお持ちの企業・組織に対する力強いパートナーとして、我が社もより一層頑張って行かなければならないという思いを強くした次第です。

さて末筆となりましたが、もう気付いたら師走です。
何かとせわしない時節柄ですが、皆さま、お身体にはご自愛ください。

 

 

 

※記載内容は執筆当時のものです。株式会社リアライズは2023年1月1日に株式会社NTTデータ バリュー・エンジニアに社名変更しました。

 

 

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