【リアライズ通信(201511)】

このコーナーは、リアライズ社長の大西が発信するブログです。最近の出来事や、今後のビジネスへの考えを綴っています。

 

 

杭データ改ざん事件に寄せて~ストップ!データ軽視~

 

昨今の杭データの流用・改ざん事件が連日のように報道され、社会問題にまで発展しています。

データマネジメント事業に携わる経営者として、また、(社)日本データマネジメント・コンソーシアム[JDMC]の発起人、事務局長として、決して看過できない事象であり、本日はそのことについて考えを述べたいと思い詰め、このたび筆を執った次第です。

 

人生における最大の買い物といわれる大切な自宅マンションの杭が固い支持層まで届いているかどうかわからない-

そうした不安に駆られている住人の方々の気持ちを思うと、一消費者として本当にやるせない気持ちになります。

 

一体、なぜこんなことが起きてしまったのか・・・?

 

-多重下請構造の業界が悪い

-分譲マンションの完成前に全戸を販売し終える「青田売り」という日本独自のシステムが悪い

-余裕のない工期を下請けに押し付けているから悪い

 

マスコミ等では様々な論調がさかんに喧伝されていますが、私はこの辺の原因については業界人でもなく、門外漢のため、何の意見もいえません。

 

ただし、データマネジメントの専門家から言わせていただければ、問題の一端は「データを軽視する社会の姿勢」に起因しているのではないか。

データを大切にする文化、データマネジメントが欠落してしまっていたからではないか、と確信しています。

 

実際にはちゃんと工事がなされ、支持層に杭が到達しているにも関わらず、「データが正しくその状態を反映していない」がために、「ファクト(事実)がわからない疑惑な物件」が数多く発生してしまっているのではないか。

現場で工事を行った方々は適切にお仕事をしたのに、その怪しい「データ」が住人の方々や販売した企業、工事した企業のすべての人たちを不安の淵に追い落としてしまう。

 

本質的には「消えた年金記録問題」と同じ根っこの問題ですが、これだけ「データ」とは恐ろしい「凶器」にもなり得ることがはっきりと示されていると思います。

 

忙しい現場では、常にこういうことが起こっています。

 

『納期も迫っているし、別件のデータをコピーしてもばれないだろう』

『一からデータを作り直すのは手間がかかるし、誰も見ないだろうから、類似のデータを少し変えて流用しよう』

『実際にはちゃんと仕事しているはずだから、データは多少おかしくても問題ないだろう』

 

自分が一度生み出してしまったデータが、後でどんなことを引き起こしてしまうのか、ファクト(事実)を的確に反映していないデータにより、どれだけのダメージが会社にもたらされてしまうのか、そういう考え方がトップから末端の現場まで行き渡っていない、まさにデータマネジメントの欠落があったのではないかと想定します。

 

逆に、「うちのデータマネジメントは万全なので、このデータを見てください。大丈夫ですよ!」と胸を張れる会社は、「うちはデータは間違っていますけど、工事はちゃんとやりますよ」という会社と比べられた時に、お客様がどちらの会社を選ぶかと言えば自明の理ではないでしょうか。

データは「凶器」にもなり得れば、「競合他社に勝つための強力なビジネスの武器」にもなり得るのです。

 

大切なことは、これだけITが企業活動にも個人の生活の上でも浸透した今日、データが「凶器」にならないように管理・ガバナンスを行い、さらにはデータを価値ある経営資源として大切にする文化、活用していく組織的な取り組みを行っていくことこそ、あらゆる日本企業にとって重要だと痛切に感じています。

この悲しい一連の改ざん事件を単なる業界固有の問題とせずに、自社のデータマネジメントを改めて点検することに着手する尊い契機とすべきではないかと考えます。

 

『ストップ!データ軽視』

『データマネジメントにより、データを「凶器」ではなく、「ビジネスに勝つ武器」にしましょう!』

 

 

 

※記載内容は執筆当時のものです。株式会社リアライズは2023年1月1日に株式会社NTTデータ バリュー・エンジニアに社名変更しました。

 

 

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