データマネジメントの先駆者「NTTデータバリュー・エンジニア」が描く未来

こちらは、2023年1月にITmedia ビジネスオンラインに掲載された、弊社代表 大西のインタビュー記事を転載しています。

 

データの価値を高めビジネスに活かす!

データマネジメントの先駆者「NTTデータバリュー・エンジニア」が描く未来

 設立20周年を迎えたリアライズは、データマネジメントの専門会社としてこれまで行ってきた「データの整備・統合、品質向上支援」に加え、さらなるデータの価値を生み出す「データ分析・活用」の領域へと事業領域を拡大する。同時に、社名を「NTTデータバリュー・エンジニア」に変更し、“データマネジメントを支援する会社”から”データマネジメント通じてデータの価値を高め、社会に貢献する会社“へと革新することを内外へ発信する。

 

 データ利活用に関する国内の現状と課題とは――。リアライズ改め「NTTデータバリュー・エンジニア」が目指す展望を、同社の大西浩史社長に話を聞いた。

 

高額なシステムを導入してもデータに問題があってうまく使えないジレンマ

――NTTデータバリュー・エンジニアの前身である社内ベンチャーを立ち上げたのは1997年ですが、当時のデータに対する世間の関心や状況はどのようなものでしたか。

 

大西: インターネットが普及・定着化しはじめた97年当時は、“ERP”や“BPR”といったキーワードに代表される「業務プロセス」に対する関心が主流で、「データ」そのものへの関心はほぼありませんでした。それよりも、紙で行う業務をいかに電子化するか、つまりデジタル化(デジタイズ)することでいかに業務を効率化させるかに注力していました。

NTTデータバリュー・エンジニア 大西浩史社長

 

――そうした状況下で、大西社長はいち早くデータマネジメントの重要性に気付き、起業されました。どのような背景があって起業に至ったのでしょうか。

 

大西: 私は当時、NTTデータでソフトウェアなどの調達部隊にいました。サプライヤーと交渉し、仕入れ単価を安くできれば営業利益に直結するので非常にやりがいを感じていました。そこで、さらなるコスト削減を実現するため、社内の情報システム部門へ調達履歴データを多角的に分析するための要望を出し、現行システムの追加開発を行ってもらったのです。

 

 しかし、システム運用開始後も想定していた活用ができませんでした。原因は業務現場の忙しさからマスターデータの取り扱いがおざなりにされていたことでした。例えば、調達品目に100行の明細があっても、一つずつ入力するのが面倒なので一式にまとめて一件のマスターデータとして登録してしまうなど、不適切なケースが多々ありました。その結果、どのメーカーの商材をどういう単価でどこのサプライヤーから購入したのかが適切に分析できない状態になっていたのです。

 

 多額の投資をしてシステムという「器」を作ったのに「中身」であるデータが分析・活用可能な状態にないと、「業務処理が効率化された」という効果はあっても戦略的にビジネスに生かせないと痛感しました。逆に、データが分析・活用可能な状態であれば、事業部ごとの調達単価のバラツキや時系列での変化点などが精緻に把握できるため、取引相手との価格交渉時に強力な武器になるのです。そうした現場で感じたデータ品質への課題認識が当社の起業につながったわけです。

 

――なるほど。起業の背景は大西社長の原体験にあったのですね。それから20年以上たちましたが、企業でのデータ利活用は進んできているのでしょうか。

 

大西: 残念ながらあまり変わっていない印象を受けます。確かに、データマネジメントやデータ利活用を支援する多くのツールが供給され、利活用に向けた取り組みは増えましたが、本質的なビジネスでの成果創出には至っていないケースが多いと感じています。しかも、進まない原因を分析ツールの機能・性能やユーザーのリテラシーであると誤解し、やみくもに新しいツールを導入したり、データサイエンティストの採用を増やしたりするケースも多く、問題の本質は変わっていません。

 

 データ利活用が進まない最大の原因は、データが分析・活用可能な状態に整備されていないことにあります。個別の業務部門内のデータは、その部門の業務を回すことを目的に生成されたもののため、そのデータを部門横断的に活用しようと思っても、相互にデータがつながっていなかったり、品質や粒度が異なったりしていれば横串で使うことはできません。ただ単にデータをかき集めて情報基盤に格納すれば済むものではないのです。

 

 また、優秀なデータサイエンティストを採用しても、そもそも社内にどのようなデータがあるか、どれが最新のデータかが分からない状態では、データの前処理までに多くの労力を費やし、ビジネス上の成果を創出するまでに膨大な時間を要してしまいます。データをいかに探しやすく、使いやすい状態に整備・維持・向上させるかという“データマネジメント”が不可欠になるのです。

 

 ただ、近年は「データドリブン経営」といったキーワードが注目され、「データマネジメントにはどんな体制でどう取り組むべきか」という本質的な課題が顕在化してきました。その結果、当社へご相談やお問い合わせをいただくケースが増加しています。

 

――データ利活用のニーズが高まっている要因にはどのような背景があると思いますか。

 

大西: 要因の一つとして、新型コロナウイルスの影響が大きいと思います。飲食店でいうと、従来は休日・平日の来店客数や近所で開催されるイベントなどを考慮した店長の経験則によって、仕入れの量やアルバイトのシフトなどを、ある程度の精度で予測できていましたが、コロナ禍による自粛などの影響で、今までの経験則が全く通じなくなりました。

 

 昨今のウクライナ侵攻による物価や資源価格の高騰もそうですが、先の読めない混沌とした時代、現場で起きていることを示す「データ」を、経営者が意思決定や差別化の武器として重要視するようになってきています。属人的な勘や経験では対処しきれない環境だからこそ、データ利活用の機運が高まっていると考えます。

 

データの整備・統合から活用までオールインワンのサービスを提供

――2023年1月に「NTTデータバリュー・エンジニア」へと社名を変更されました。その背景や意図をお聞かせください。

 

大西: 社名変更に至った思いは、主に2つあります。

 

 まず1つ目は「データの価値をエンジニアリングすることを通じて、お客さまのビジネスに貢献するプロフェッショナルでありたい」という決意を社内外に表明することです。また、“システムエンジニア”や “データサイエンティスト”などと同列の重要な役割として、“データのバリューを高めるエンジニア”という領域・プロフェッショナリティを確立したい、との願いも込めています。

 

 2つ目は、新卒や中途の社員採用において、共にデータの価値を高め、お客さまのビジネスに貢献する同志をもっと増やしたいという強い思いです。データ利活用のニーズは年々増加しており、当社への引き合いも急増しています。NTTデータグループの安心感やブランド力を最大限に活用し、採用活動を積極的に展開していきたいと考えています。

 

 また、社名を変更すると決心した背景には、全社員が参画して策定した新しい企業理念『データで創る一歩先の未来』があります。これまでの企業理念であった『Make IT Real Business』は「データマネジメントによりITを真にビジネスの役に立つものにしたい」というものでしたが、新たな企業理念ではそれを包含しつつ、我々がさらに希求したい姿を明確にしています。

 

 10年、20年先といった遠い将来ではなく、ビジネスにとって大切な“一歩先の未来”を左右する意思決定に価値あるデータを活用できるよう支援し、ビジネスの成果に直結する貢献をしたい。一歩先の未来では、データを活用しなかった場合よりもずっと確信的で、仮説検証可能な意思決定が行われているはずです。

 

――NTTデータバリュー・エンジニアとしての今後の展望をお聞かせください。

 

大西: 会社設立以来、当社はさまざまな業界・業種の多様なデータと向き合い、1200件以上のデータマネジメントのプロジェクトとビジネス施策の実践でお客さまに貢献し、実績を築いてきました。また、11年には一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)を共同発起・設立し、「データマネジメント」という概念の認知・普及に貢献してきた自負があります。

 

 今後は新たな社名と企業理念のもと、これまで提供してきた「活用できるデータへの整備支援やデータカタログ/データガバナンスの構築支援」に加え、データの価値向上をビジネス成果に直結させるために「データ分析・活用」の領域へと事業を拡大していきます。これにより当社は、源流のデータ整備からデータの分析・活用サービスまでを融合したオールインワンのサービスが提供可能になります。お客さまと一緒に「データで創る一歩先の未来」を追い求めていきたいと考えています。

データ整備から分析・活用サービスまでを融合したオールインワンサービス(出所:NTTデータバリュー・エンジニア)

 

 その先駆けとして、23年春に「POSデータを活用した飲食店向け来店者予測データ分析サービス」をローンチします。また、データの品質や精度の向上という従来の強みを生かし、データ活用をより身近に感じていただけるサービスを順次リリースしていきます。

 

――飲食業の来店者予測とは具体的にどのように行うのでしょうか。

 

大西: 主に店舗のPOSデータを活用します。ただ、POSデータは店舗ごとに表記や粒度が異なるためそのままだと使えません。そこで新たに構築したデータマネジメント基盤上でデータプレパレ―ション処理(前処理や正規化)を施し、データの可視化や予測を行っていきます。これによって分析・予測の精度が格段に向上しています。

 

 コロナ禍以後のPOSデータを使い、店舗の所在地域の属性や店舗形態などと掛け合わせて分析することで精度の高い来店予測ができ、これまでの経験則が通用しなくなってしまった食材の仕入れ量やシフトの適正化に生かせるわけです。

「POSデータを活用した飲食店向け来店者予測データ分析サービス」イメージ(出所:NTTデータバリュー・エンジニア)

 

 私たちの強みは、PowerPointに書かれただけの絵空事のような未来像ではなく、お客さまの一歩先のより良い具体像を「データ」という実体で示せることです。これは他のシステム開発会社やツールベンダー、コンサルティングファームと大きく違うところです。こうした点を高く評価いただき、ロングタームのプログラムベースでお付き合いをしていただけていると考えます。

 

――最後に、国内企業のデータマネジメントの取り組みにあたってアドバイスをお願いします。

 

大西: 当社の事業やJDMCでの活動を通じて「データマネジメント」という概念は少しずつ認知されるようになってきたと実感しています。データ利活用に関心を高める企業は確実に増えています。ただ企業によっては、どうすれば失敗しないかを気にし過ぎて、他社の事例やツールの情報収集にとどまり、データを整備したりどんな分析結果が得られるか試したりといった具体的な“一歩”が踏み出せていないところも多いのではないでしょうか。

 

 もし自社でデータマネジメントへの取り組みにどう着手すればよい

か悩んでいる方がいれば、何よりも先に「実際にデータの中身を見てほしい」と思います。社内データの中身を確認し、そこから何ができそうか、実現したいビジネスの成果のためにはデータがどんな状態になっている必要があるのか、そうした試行錯誤を通じて具体像が徐々にイメージアップされていくのです。

 

 

 いくら高い品質のデータがあっても、利活用しない限り1ミリもメリットを享受することはできません。今後、データ利活用に早く踏み出した企業と、ずっと迷っているだけの企業の間で“極端な二極化”が進むのではと危惧しています。当社はお客さまと共に一歩先の未来をデータで考え、データの価値を高め、ビジネスに貢献するプロフェッショナルであり続けたいと思います。

 

 データ利活用に悩まれている企業さまは、是非お気軽に私たち「NTTデータバリュー・エンジニア」へご相談ください。

 

――本日はありがとうございました。

 

 

 

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